不気味さに共通する「青と赤」──ミャクミャクに感じたあの違和感

ミャクミャク──2025年大阪・関西万博の公式キャラクター。
この赤と青の“なんとも言えない存在”を見たとき、どんなふうに感じましたか?
「ちょっと気持ち悪い」
「でもなぜか目が離せない」
「生き物なのか、よくわからない」
そんなモヤモヤが浮かんだ人は、もしかすると自然界に潜む「ある配色パターン」に、本能的に反応しているのかもしれません。
それは──「青と赤」という、目に飛び込むような強烈な組み合わせです。

見たことないはずなのに、見覚えがある感じって…なんなんやろね。
ミャクミャクの配色に感じる違和感は、どこかで一度見たような、でも言葉にできないあの感覚。
あれって、実は自然界にもいるんです。
今回は、「青と赤」をまとった生き物たちの不思議な存在感に注目して、その正体にちょっとだけ迫ってみます。
マンドリル・ヒクイドリ・七面鳥──目を引くけど落ち着かない動物たち
マンドリルの「顔が信号機」問題


まず取り上げたいのが、顔がとにかく派手すぎる霊長類・マンドリルです。
初めてその顔を見た人は「本当にこの色!?」とびっくりするかもしれません。
目のまわりは鮮やかな青、鼻筋は真っ赤。
しかも、色のインパクトは顔だけにとどまりません。
そう、お尻までが赤と青でくっきりと色づいているんです。しかも、かなりの主張。



顔だけやなくて…お尻もかよ…。
いや、情報多すぎて処理できん…。
マンドリルにとっては異性へのアピールだったり、群れの中での地位を示すための“装飾”とも言われています。
でも人間の目には、まるで「信号機か戦隊モノか」ってくらい派手すぎて、逆に戸惑ってしまいますよね。
ヒクイドリの「生きた恐竜」感と攻撃性


続いて紹介するのが、オーストラリアの森に生息する大型の鳥・ヒクイドリ。
その姿には、どこか古代の生き物を思わせるような迫力があります。
特に筋肉質な脚と骨のようなトサカは、現代の鳥類とは一線を画す異質さを放っています。
首には赤と青のむき出しの皮膚──その色合いも含めて、まるで“自然界に紛れ込んだモンスター”のようです。
実際、ヒクイドリは「生きた恐竜」と呼ばれることもあり、世界でもっとも危険な鳥のひとつに数えられています。
体格も大きく、走るスピードも速い。
近づこうものなら、ひとたまりもなさそうです。



あれは鳥っていうより“戦闘力つきの時代錯誤”…怖すぎん?
見た目がすでに異質なのに、その上に「強い」という属性が加わると、不気味さは倍増します。
鮮やかな色が“攻撃的なサイン”に見えてくるのも、自然な感覚なのかもしれません。
七面鳥の「皮膚感」がもたらす生理的違和感


最後に取り上げるのは、意外と見落とされがちな七面鳥です。
食卓に並ぶ姿とは裏腹に、彼らの顔と首はちょっと独特な雰囲気を持っています。
青と赤に染まった皮膚はブヨブヨとしていて、どこか未完成なモンスターのような印象。
遠目ではわからなくても、近くで見ると少しだけ“生々しすぎる”と感じてしまうかもしれません。



食べる前に顔だけアップで見せられたら…ちょっと複雑よな…。
美味しいかどうかとはまた別の次元で、顔つきや色合いが放つ“生理的な違和感”があるのが七面鳥の不思議なところです。
赤と青の組み合わせは、食欲よりも警戒心を刺激してしまうのかもしれません。
青と赤は“強い意味”を持つ──自然界での役割とは?
赤=血と警告、青=希少で異質
自然の中で、赤と青はどちらも強い意味を持った色です。
赤は「血」や「攻撃」「怒り」「警告」など、見るだけで本能が刺激されるような色。
一方で青は、そもそも自然界ではめったに見られないため、「異質さ」や「冷たさ」、「不気味さ」を感じさせやすくなっています。
この2つがそろうことで、どうしても目を引いてしまう──そんな組み合わせなんです。
警戒、誇示、威嚇…「見せること」に意味がある
マンドリルは、自分の強さや健康さをアピールするためにあの派手な色を使っています。
ヒクイドリは、まるで「近づくな」と言っているかのように、首の赤と青を見せつけてきます。
七面鳥も、繁殖期にはぶよぶよの肌を真っ赤にして“魅せる”存在になろうとします。
どの動物も、「この色を見たら、なにか感じてくれよな」と言わんばかりの自己主張なんですね。
それでも「不気味」に感じてしまうのはなぜか?
でも──理由がわかっても、やっぱりどこか不気味に見えてしまう。
それはきっと、人間の中にある“異常な配色への警戒心”が働いているからなのかもしれません。
「自然の中にあるけど、どう見ても普通じゃない」
そんな存在が目の前に現れたとき、脳が一瞬止まってしまうんです。



見てはいけないけど、見ちゃうやつや…。
違和感は「境界」に宿る──人工と自然をまたぐ配色の力
自然の中にある“人工的な色合い”
話をミャクミャクに戻しましょう。
彼の配色──赤と青の組み合わせだけを見ると、実はそこまで不自然じゃない。
むしろ自然界にも似たような色をまとった動物はたくさんいます。
けれど、形や質感、目の動きや全体の雰囲気は、どうしても“人工物”のように感じてしまう。
この「自然っぽいのに不自然」「生きてるようでそうじゃない」感覚が、私たちの違和感センサーを刺激してくるんです。
ミャクミャクが不気味でクセになる理由
よくよく考えてみると、ミャクミャクってちょっとズルい存在かもしれません。
自然界にヒントを得たような色彩をまといながら、姿かたちは徹底的に異物。
そんな“どっちつかず”の存在は、気づかないうちに人の目と記憶にこびりつくものです。
気持ち悪いのに、なぜか頭から離れない──それはきっと、彼が人間の無意識を突いてきているから。
「馴染まない存在」は、記憶に残る存在へ
自然界では、目立つこと=生き残ることに直結します。
だからこそ、マンドリルもヒクイドリも七面鳥も、あんなに目立つ姿をしている。
人間社会でも同じで、「あのキャラなんか変だったよね」と話題にされることは、ある意味で勝ちです。
ミャクミャクを見て「ちょっと気持ち悪いな」と感じたその感覚は、間違っていません。
不気味さには、不気味さなりの意味と戦略がある。
そう思えば、あの異様な姿も少しだけ愛おしく思えてきませんか。



不気味も才能か…ミャクミャク、やるやん…。
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